FDAはClovis Oncology, Inc.が開発したPARP阻害剤RUBRACA(一般名:rucaparib)を、「化学療法による治療歴(2~3回)があり、FDAが承認するコンパニオン診断法でBRCA遺伝子病的変異が認められた進行卵巣癌」を適応症として承認した。RUBRACAは画期的治療法(BTD)および希少病薬の指定を受け、優先審査、審査費用の割引、上市後の独占期間延長、などの優遇策による支援を受けている。なお、FDAが同時に承認したFoundation Focus CDxBRCA コンパニオン診断法は、次世代シーケンシング(NGS)を用いた初のコンパニオン診断法である。
2回以上の化学療法歴のあるBRCA変異陽性の進行卵巣癌患者106人を登録した2本のシングルアーム臨床試験において、奏効率(ORR:主要評価項目)は54%、奏効期間の中央値は9.2 ヵ月であった。米国国立癌研究所(NCI)は、2016年に22,280人の女性が新たに卵巣癌と診断され、14,240人が本疾患で死亡していると推定している。卵巣癌患者の約15~20%にBRCA遺伝子の変異が認められる。
参考:
PARP阻害剤は、BRCA遺伝子が損傷しているがん細胞のDNA修復を阻害し、腫瘍の生育を減速・停止し、最終的に細胞死をもたらす。アストラゼネカが販売するオラパリブ(製品名Lynparza)は卵巣がん治療薬として2014年末に欧米同時に承認された。TESARO社が申請中のニラパリブ(niraparib)は卵巣がんで無増悪生存期間(PFS)を21か月へと4倍近く延長し、TESAROの株価は1年間で3倍となった。
BRCA遺伝子の変異は卵巣がんの他にも乳がん、前立腺がんでも確認されている。ヤンセン(J&J)はニラパリブを導入して前立腺がん治療薬として開発中。アッヴィが開発中のベリパリブは非小細胞肺がんを対象にカルボプラチン、パクリタキセルなど化学療法剤および放射線との併用療法としてFDAのオーファン指定を受けている。