2019/06/03

マクロファージチェックポイント阻害抗CD47 抗体Hu5F9-G4 のAML/MDS の第1b 相試験

Forty Seventy, Inc が開発中のfirst-in-class の抗C47 抗体Hu5F9-G4 について、アザシチジン(AZA)との併用療法による急性骨髄性白血病(AML)および骨髄異形成症候群(MDS)患者に対する第1b 相試験の最初の試験結果をASCO 2019)で報告した。
Hu5F9-G4(5F9)は、CD47 を標的とする抗体で、マクロファージの免疫チェックポイントである。CD47 は、血球細胞がマクロファージ、樹状細胞等の貪食細胞の攻撃から細胞を守る蛋白質で、赤血球、血小板、リンパ球等の血球細胞表面に存在し、AML/MDS、NHL(非ホジキンリンパ腫)、および乳癌などの固形癌細胞で過剰発現が知られている。CD47 が過剰発現する癌細胞では、CD47 がマクロファージのSIRPα(阻害受容体シグナル制御蛋白α)と結合し“Don’t eat me”のシグナルで貪食から逃れ、免疫系の攻撃を回避している。CD47 は、AML モデルで癌細胞の食作用を誘発し、白血病幹細胞(LSC)の放出を阻害する。アザシチジン(AZA)は、AMLに“eat me”シグナルを誘導し5F9 と相乗作用を示して食作用を増強する。本試験において、AML/ MDS 患者における5F9 の単剤またはAZA との併用による安全性/有効性を検証したところ、5F9 単独またはAZA との併用でMTD に達することなく忍容性は良好であった。また、5F9 はAZA の毒性を増強しなかった。25 人の有効性評価可能な患者において、8/15(53%)の未治療のAML/MDS 患者は、5F9 +AZA によりCR/CRiはAML で5/10(50%)、MDS で3/5(60%)であたった。 1/10(10%)のR/R AML / MDS 患者は5F9の単剤に奏効性(MLFS;形態学的に白血病細胞が検出されない状態)を示した。ほとんどの5F9+AZA 奏効患者でLSC 頻度が減少/排除された。奏効患者の50%がフローサイトメトリーで検査した微小残存病変(MRD)は陰性を示した。 4/10(40%)のAML 患者はRBC 輸血非依存性となり、4/5(80%)のMDS 患者は血液学的改善を示した。